2013年6月26日水曜日

さきがけ

http://www.chem-conv.jst.go.jp/forum_120127.html

・2012.12.11第1回「フォーラム:人工光合成」講演収録集を掲載致しました。 New
・2012.12.07人工光合成研究の最前線:JSTさきがけ「光エネルギーと物質変換」領域 研究成果発表と特別講演の参加募集を開始致しました。 New
アメリカ政府は、人工光合成研究に、5年間で100億円以上を投じるというのです。
国家プロジェクトとして、人工光合成研究の一大拠点がカリフォルニア州に作られました。
それが、人工光合成ジョイントセンターです。
センターで研究を行っているのは、130人を超す研究者たち。
触媒を専門とする化学者や、物理学者、さらに装置を作る機械工学者など、第一線のスタッフを集めています。
大きな目標を掲げ、集中的に多くの資金と人材を投入し、短期間で成果を出す。
アメリカ得意の方法です。
人工光合成ジョイントセンター サイエンス ディレクター
ネイサン・ルイスさん
「基礎研究から技術の開発まで、研究開発のすべてを一つ屋根の下で行っているのが、我々のセンターの最大の強みです。」
大手自動車メーカーの研究所では、将来的に、自動車の液体燃料などを二酸化炭素から作れる技術の開発を目指して、2006年、人工光合成の研究を始めました。
豊田中央研究所 先端研究センター 主席研究員 森川健志さん
「植物と同じように、原料はCO2と水のみ、そしてエネルギー源は太陽光。
実現させるためには、どうあるべきか。
やはり技術的には、そうとう難しいので、実験を進めても、最終的には、すべて失敗に終わるリスクもあったと思います。」
研究を始めて、2、3年は、目に見える成果が出ませんでした。
森川さんたちは、植物の光合成をそのまま、まねするのではなく、触媒というものを使う方法に注目しました。
触媒とは、化学反応を起きやすくする物質です。
そして、試行錯誤の末、2種類の触媒にたどりつきました。
1つ目の触媒は、水を分解する働きをします。
そして2つ目の触媒は、二酸化炭素を使って、有機物を作り出す役目を担います。
この2つの触媒を組み込んだ装置です。
装置に二酸化炭素と水を入れて、太陽の光を当ててみます。
5時間後、装置の中の物質を分析。
すると、有機物ができていたのです。
植物には、水を分解する重要な物質が潜んでいたのです。
マンガンやカルシウムが、独特の形でつながった物質でした。
これこそが、植物の光合成を支えていたのです。
この研究成果を生かせば、人工的に光合成を起こすことができるのではないかと、大阪市立大学では、新たな研究拠点を立ち上げました。
人工光合成研究センター。
明日、18日から、人工光合成の実現に向けた研究が動き出します。
世界を主導する日本

 酸素を発生させる「フォトシステムⅡ複合体」の構造が、これまでは漠然としかわかっていなかったのですが、昨年、2011年に素晴らしい結果がわが国から出ました。
 ここで、日本がどのぐらい頑張っているかをお示しします。『Science』が、2011年の10大ニュースとして、「はやぶさ」とともに「フォトンシステムⅡ複合体の構造決定」をとりあげました。その立体構造を1.9Åの空間分解能で、梅名、川上、沈、神谷さんらが決定したのです(12)。ちなみに、梅名さんは私たちの領域のさきがけ研究員ですし、沈先生は領域アドバイザーです。水素結合ネットワークの結合様式もすべて明らかになっています(13)。一番のポイントは、酸素を発生する中心の錯体の構造決定です(14)。また、これまで酸素はどこにいるかよくわからなかったのですが、それらが明らかになりました。これは日本の誇るべき素晴らしい成果です。



組織表

総括班 人工光合成による太陽光エネルギーの物質変換:実用化に向けての異分野融合
研究代表者井上 晴夫首都大学東京・大学院都市環境科学研究科・教授領域の総括
研究分担者民秋 均立命館大学・薬学部・教授領域研究方針の策定事務
工藤 昭彦東京理科大学・理学部・教授領域研究方針の策定
石谷 治東京工業大学・大学院理工学研究科・教授各研究項目の企画調整・広報
橋本 秀樹大阪市立大学・複合先端研究機構・教授領域研究方針の策定
計画班 A01 光捕集機能を有する人工光合成システム
研究代表者民秋 均立命館大学・薬学部・教授クロロフィル集積体による光収穫アンテナ機能の解明
研究分担者稲垣 伸二株式会社豊田中央研究所・稲垣特別研究室・室長・シニアフェローメソポーラス有機シリカを光捕集系とした人工光合成の構築
橋本 秀樹大阪市立大学・複合先端研究機構・教授光捕集機能の解明と高効率化
計画班 A02 水の酸化光触媒機能を有する人工光合成システム
研究代表者井上 晴夫首都大学東京・大学院都市環境科学研究科・教授可視光による水の二電子酸化:ユビキタス金属錯体による光酸素化反応
研究分担者神谷 信夫大阪市立大学・複合先端研究機構・教授光合成光化学系IIの水分解・酸素発生過程の完全解明
野口 巧名古屋大学・大学院理学研究科・教授光合成水分解系の動作原理の解明と人工光合成への応用
八木 政行新潟大学・自然科学系・教授合成錯体分子による水酸化光触媒系の構築
計画班 A03 水素発生光触媒機能を有する人工光合成システム
研究代表者工藤 昭彦東京理科大学・理学部・教授クリスタルエンジニアリングに基づくソーラー水素製造光触媒の開発
研究分担者井上 和仁神奈川大学・理学部・教授窒素固定酵素ニトロゲナーゼを利用した水素生産の高効率化
酒井 健九州大学・大学院理学研究院・教授金属錯体を基盤とした人工光合成デバイスの創成
加藤 英樹東北大学・多元物質科学研究所・准教授水素生成のための新規光触媒開発
計画班 A04 二酸化炭素還元光触媒能を有する人工光合成システム
研究代表者石谷 治東京工業大学・大学院理工学研究科・教授CO2分子の光還元のための光機能性分子創成及び研究総括
研究分担者田中 庸裕京都大学・大学院工学研究科・教授固体表面の特性を活かした二酸化炭素の再資源化
森川 健志株式会社豊田中央研究所・研究員二酸化炭素を光還元するための可視光応答性半導体の創製
天尾 豊大阪市立大学・複合先端研究機構・教授二酸化炭素を燃料化する光捕集分子-酵素複合型人工光合成系の創製
公募A01班(H25-26年度)
公募A01山口 央茨城大学・理学部・准教授チューブ状メソポーラスシリカを利用した光捕集複合体の配列制御
公募A01山本 洋平筑波大学・数理物質系・准教授生体分子による新しい光電変換系の構築
公募A01坂本 良太東京大学・大学院理学系研究科・助教単一指向性光伝達を可能とする光捕集錯体ナノシート・ナノワイヤ
公募A01立間 徹東京大学・生産技術研究所・教授プラズモニック光捕集アンテナ界面の構築
公募A01柘植 清志富山大学・大学院理工学教育部・教授配位高分子鎖を利用した光捕集系の構築
公募A01宇佐美 久尚信州大学・繊維学部・教授多孔質ガラス導光型光化学反応器の開発研究
公募A01荒谷 直樹奈良先端科学技術大学院大学・物質創成科学研究科・准教授拡張ローダミンに基づく堅牢な光アンテナシステムの構築
公募A01高木 慎介首都大学東京・大学院都市環境科学研究科・准教授光物質変換系との連結を目指した新規ナノシート型光捕集系の構築
公募A01佐賀 佳央近畿大学・理工学部・准教授光合成細菌の生合成反応を利用した天然型光捕集超分子の機能化
公募A01梶 貴博情報通信研究機構・未来ICT研究所・研究員ナノフォトニック構造を用いた人工光合成系の光捕集効率化と機能解明
公募A02班(H25-26年度)
公募A02三澤 弘明北海道大学・電子科学研究所・教授可視・近赤外局在プラズモンによる水の完全分解システムの構築
公募A02前田 和彦東京工業大学・大学院理工学研究科・准教授金属酸化物ナノシートで創る反応場分離型水の酸化光触媒
公募A02石北 央
京都大学・生命科学系キャリアパス形成ユニット・講師
水分解触媒部位の周辺環境から理解する光合成蛋白質における酸素発生反応
公募A02白上 努宮崎大学・工学部・准教授高原子価典型元素ポルフィリン錯体による水分子の多電子酸化活性化反応系の開発
公募A02和田 亨立教大学・理学部・准教授光合成酸素発生中心の仕組みを組み込んだ複核ルテニウム錯体による水の酸化反応
公募A02正岡 重行分子科学研究所・准教授水の酸化の超高効率化を目指した超分子錯体触媒の創製
公募A03班(H25-26年度)
公募A03加藤 昌子北海道大学・大学院理学研究院・教授元素活用型3d金属錯体水素発生光触媒の構築
公募A03大谷 文章北海道大学・触媒化学研究センター・教授光触媒粒子へのビルトイン電場導入による励起電子―正孔再結合制御
公募A03阿部 敏之弘前大学・大学院理工学研究科・准教授有機p/n接合体を基盤とした水素発生用光触媒デバイスの創成研究
公募A03加藤 正史名古屋工業大学・大学院工学研究科・准教授水素発生オリエンテッドエピ構造3C-SiCによる高効率水素発生光触媒の実現
公募A03池田 茂大阪大学・太陽エネルギー化学研究センター・准教授高光起電力を発生する化合半導体ヘテロ接合光電極による極低バイアス水分解
公募A03庄村 康人兵庫県立大学・大学院生命理学研究科・助教水素合成触媒としての応用を視野に入れたヒドロゲナーゼの構造・技術基盤の確立
公募A03加藤 隆二日本大学・工学部・教授分光計測による光触媒反応効率決定因子の解明
公募A04班(H25-26年度)
公募A04喜多村 昇北海道大学・大学院理学研究院・教授アリールホウ素置換遷移金属錯体による二酸化炭素の光還元反応
公募A04小島 隆彦筑波大学・大学院数理物質科学研究科・教授金属錯体及びポルフィリン超分子を用いたCO2光還元触媒系の構築
公募A04若狭 雅信埼玉大学・大学院理工学研究科・教授超強磁場を用いた金属錯体の電子状態の解明
公募A04吉田 寿雄京都大学・大学院人間・環境学研究科・教授水を電子源とした二酸化炭素の還元反応のための高品質微結晶光触媒の開発
公募A04野澤 俊介高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・准教授フェムト秒分子動画撮影法による光機能性金属錯体の機構解明