2009年9月25日金曜日

http://eetimes.jp/article/22819

それに対して太陽光発電所では面積はあまり制約されない。変換効率よりはむしろ単位発電量当たりの価格が低い太陽電池が求められる。S
薄膜太陽電池は、高価なSiウエハーを用いない。ガラス基板上に化学的気相成長(CVD)法でSi膜を積層するため、Si材料の使用量がHITの数%で済み、1GW/年規模の大量生産が可能だ。

新会社ではアモルファスSi薄膜とSi薄膜などを積層した2層(タンデム)構造の太陽電池を量産する。2010年度に変換効率10%の製品の生産を年産 80MW規模で開始する。その後、2015年度には1GW/年、2020年度には2GW/年に規模を拡大していく。三洋電機は2008年4月に設立した先 進太陽光発電開発センターで、薄膜太陽電池の生産速度を現状の10倍に向上させることと、変換効率を12%以上に向上させることを目的とした研究を既に開 始している。

Si薄膜太陽電池は、高温環境下でも変換効率が落ちにくい。新日本石油が産油国との間に持つ石油取引ルートを生かして、中東地域など、低緯度の産油国の太陽光発電所向けに売り込む。

ほかにも、発電所用途を狙う太陽電池メーカーは多い。例えば、シャープは薄膜太陽電池の量産を16万kW/年の規模で2008年10月に開始した。 2010年4月までに1GW/年の生産体勢を確立する。カネカは薄膜太陽電池の生産を2008年4月に開始した。生産能力を現在の70MW/年から 2010年までに150MW/年、2015年には1GW/年まで拡大する。同社の方式はアモルファスSi膜と多結晶Si膜の間に透明中間層を設けることで 吸収波長域を拡大したことが特長だ。効率は12%で、薄膜太陽電池としては高い。

製造装置メーカーであるアルバックは薄膜太陽電池を製造するターン・キー・システムをすでに台湾NexPower Technology社に納入済みである。アモルファスSiを用いた単層型で効率7%、アモルファスSiと微結晶Siを用いたタンデムで効率9%のパネル を製造できる(図1)。

太陽光発電所システムの納入を主眼に置いて参入するメーカーもある。東芝だ。社内カンパニーである電力流通・産業システム社内に「太陽光発電システム事業 推進統括部」を2009年1月1日に新設した。大規模な太陽光発電システムの受注を確保していく。太陽電池パネル自体は外部調達する可能性があり、パネル 製造ではなく、システム設計をもくろむ。例えば、充放電回数を高め、充電時間を短縮した同社独自のリチウムイオン2次電池「SCiB」との組み合わせも想 定する。

2015年度までに約2000億円の年間売上高を目指す。同社の推定では、2009年の電力・産業用太陽光発電システムの市場規模は、全世界で1.2兆円であり、2015年度には2.2兆円まで成長するという。


【脚注】
*1)本文で扱ったSi薄膜を用いた太陽電池以外に、化合物系薄膜太陽電池を推すメーカーもある。昭和シェル石油はCIS(銅インジウム・セレン)を用いた化合物系太陽電池を量産し、2011年度をめどに1GW/年の量産を開始する予定である。

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